自称「正直な美容本ベストセラー作家」の宮田哲朗です。。。
「週刊新潮」にこんな特集記事がありました。
「特集!塗ってはいけない!皮膚科専門医が警告する化粧品の真実!」
この記事を読んでみたところ、化粧品に配合されている「界面活性剤」が悪いという内容です。
まだ、こんな事を言っている編集者さんがいるのですね・・・。
週刊誌は過激な内容を記事にした方が、売上げ部数が伸びるので、ある程度の表現方法はしょうがないと理解していますが、さすがに今回の記事はいたずらに「消費者の不安を煽る内容」で、事実と異なる事が掲載されていたので、ちょっと反論したいと思います。
まず大前提として界面活性剤は化粧品を作る上では絶対に必要な成分で、化粧品の効果を出すには必須の成分という事は何度もお伝えさせていただいております。
今回の記事で界面活性剤が皮膚に悪影響を与えると主張している働きが2つあります。
1つめは界面活性剤の「洗浄」作用で、
2つめは界面活性剤の「乳化」(水と油を混ぜる)作用です。
まず1つめの洗浄作用がどの様に皮膚に悪影響を与えると主張しているのか?
皮膚には元々「皮膚常在菌」がいて、この皮膚常在菌が肌のバリア機能や保湿機能を整えています。
実際に皮膚常在菌の善玉菌と言われる「表皮ブドウ球菌」は皮脂を分解して、「グリセリン」と「脂肪酸」を産生します。
このグリセリンが肌を保湿してくれますし、脂肪酸が肌を弱酸性に整えてくれます。
ですので、皮膚常在菌の表皮ブドウ球菌はお肌にとって大切なものになります。
しかし、石けんや洗顔フォームなどで「過度」な洗浄を行うと、皮膚常在菌が洗い流されてしまいます。
という訳で、
界面活性剤の「洗浄」作用は、お肌にとって悪いものだから、界面活性剤はダメだと主張しています。
ここで反論を!
確かに「過度」な洗浄は皮膚常在菌を洗い流してしまいますし、皮膚のバリア機能の皮脂も取り去ってしまいます。
しかし、「過度」な洗浄がダメだから、洗浄作用のある界面活性剤が悪いというのは無理があり過ぎると思います!
例えますと、
運動は健康にとって良いことですが、「過度」な運動は活性酸素を引き起こしてしまいます。
だから運動は体に悪影響を及ぼすから、運動をしてはダメ!
と言っている様なものです。
まとめますと、
「過度な洗浄」がダメなのであって、「界面活性剤」がダメではないと言う事です!
洗浄作用のある界面活性剤は石けん、洗顔フォーム、シャンプーなどに必ず配合されていますが、使う際にはしっかりと泡立てて、優しく洗浄すれば全く問題ありません。
敏感肌や乾燥肌の方には石けんは洗浄力が高いという特性がありますので、界面活性剤を選ぶ際には「アミノ酸系」の界面活性剤がお勧めです。
ちなみにアミノ酸系の界面活性剤の見分け方は、
成分の中に、アラニン、グルタミン、グリシンなどアミノ酸の名前が入っているのものが多いのがポイントです。
そして、
2つめの界面活性剤の乳化作用が皮膚に悪影響を与えると主張している点の解説を。
界面活性剤は親水基(水になじむ部分)と親油基(油になじむ部分)で構成されています。
そして実は、人間のお肌(体)を構成している細胞の「細胞壁」も親水基と親油基で構成されています。
週刊新潮の記事では、界面活性剤が細胞壁の親水基と親油基の構造を乳化させてしまう事で、細胞壁を破壊してしまい、肌の奥まで界面活性剤が届き、基底層の細胞壁も破壊させるという主張です。
(細胞壁の水の構造と油の構造を界面活性剤の力で、混ぜ合わせてしまうことで、バリア機能を果たすことが出来なくなり、肌の深部まで界面活性剤が届く)
ここで反論を!
もし、本当に界面活性剤が細胞壁を破壊するのであれば、どんな化粧品でも角質層→顆粒層→有棘層→基底層→真皮層→脂肪層→筋肉層など、化粧品が体の中まで浸透してしまいます。
ありえないですよね!
また、界面活性剤は化粧品だけに使われている成分ではなく、非常に多くの日用品などにも使用されています。
日用品だけではなく、
皆様が毎日食べている食品の多くにも界面活性剤は使われています!
(パン、乳製品、ケーキなどなど)
界面活性剤が本当に細胞壁を破壊するのであれば、お肌だけではなく、胃や腸に限らず全身の細胞壁も破壊されている事になります。
ありえないですよね!
化粧品に配合されている界面活性剤を悪者にするのであれば、食品に配合されている界面活性剤の方がもっと危ないはずです。
僕からちゃんとした情報をお伝えします!
乳化が得意な界面活性剤の種類は「ノニオン」というタイプです。
界面活性剤で「カチオン」というタイプのものは少しだけお肌に刺激があるものもあります。
「ノニオン」はお肌には刺激もなく、安全性も確立された界面活性剤ですので、安心してお使い下さい!
最後に・・・
繰り返しになりますが、週刊誌は過激な表現をした方が販売部数が伸びますし、消費者の不安を煽る記事の方が、話題にもなります。
また、専門家の意見なども、週刊誌の思惑によって勝手な編集もされてしまいます。
(今回の記事に登場された専門家の方々も、恐らく編集によってご自身の意図とは別の内容にされているのではないか、と想像できます)
界面活性剤は何百種類もあり、全てが絶対に安全とは言い切れませんが、正しい処方、正しい使い方をすれば、安全です。
それだけではなく界面活性剤はお肌に限らず、生活も豊かにしてくれるものです。
是非とも今回の記事で界面活性剤を誤解しないでいただきたいと思います!