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エビデンス・研究資料「糖尿病とオートファジーの関係性について」

【要約】
●β細胞は、インスリンを大量生産する“工場”。
オートファジーが正常に働かないと、インスリン分泌の低下、
β細胞自体の数の減少(細胞死)が起こり糖尿病の悪化につながる。

●IGF2Rは、β細胞の増殖量を調節し、β細胞のオートファジーを保っていることがわかった。

●IGF2Rが、糖尿病治療のカギであり、オートファジーが正常に働けば、糖尿病の予防につながる。


※エビデンスを最優先に考えるUTPでは、医学論文や研究資料、学術情報などをもとに、美容と健康に関する信頼性の高い情報をご紹介しています。掲載内容は研究・文献に基づく情報であり、商品開発や情報提供の参考資料として活用しています。


糖尿病とオートファジーの関係性について

この内容は2025年10月6日に群馬大学×ハーバード大学の共同研究で発表された糖尿病発症の原因にもなる
インスリンを分泌するβ細胞の調節に関わる受容体のお話で、ここにオートファジーも関わることが判明したため、資料にまとめております。

☆インスリンと糖尿病について
まずは糖尿病の原因と、インスリンがどのように食事の糖を処理しているのかを記します。

*食後の血糖処理の流れ
・食事を摂る → 血糖値が上がる(ブドウ糖が血中に増加)
・膵臓のβ細胞が「インスリン」を分泌する
・インスリンが全身の細胞に作用 → 血液中の糖を細胞へ取り込み、血糖値が下がる

*Ⅰ型糖尿病
自己免疫の異常などによって膵β細胞が破壊され、インスリンをほとんど作れなくなるタイプの糖尿病です。発症は若年層に多く、急激に症状が出ることが特徴。治療はインスリン補充が必須で、インスリンなしでは血糖値を下げることができません。

*Ⅱ型糖尿病
生活習慣や遺伝の影響でインスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)ことが主因で、さらに時間とともに膵β細胞の働きや数が低下し、インスリンが足りなくなるタイプの糖尿病です。中高年に多いものの、若年化も進行。治療は、生活改善・飲み薬・必要に応じてインスリン治療を組み合わせて行います。

*糖尿病とオートファジーの関係
β細胞はインスリンを大量生産する “工場” です。常にインスリンというタンパク質を大量に製造しているためミトコンドリアもフル稼働しています(タンパク質を作るにはエネルギーが必要なので)。
すると古くなったタンパク質・小器官も大量に発生してきます。
特にβ細胞では、インスリンを作る負荷が大きく“細胞ストレス”が高いためオートファジーが重要です。
オートファジーが正常に働かないと、インスリン分泌の低下、β細胞自体の数の減少(細胞死)が起こり糖尿病の悪化につながってしまいます。

☆IGF2R(インスリン様成長因子2受容体)とオートファジー
ここからが研究の本題です。この研究では、β細胞にある受容体IGF2Rが2つの役割を持っていることがわかりました。その内容は、
①IGF2Rが成長因子であるIGF2を取り込んで分解することでβ細胞の増殖量を調節していること
そして
②IGF2Rがβ細胞のオートファジーを保っていることです。
1つずつ詳細を見ていきます。

① IGF2Rが成長因子 IGF2 を取り込み分解することで β細胞の増殖量を調整している
IGF2Rは膵臓のβ細胞の表面で、成長因子であるIGF2を回収して分解することでβ細胞の増殖量を調節していることがわかりました。
※β細胞の増殖自体は、IGF2がIGF1Rという受容体に作用すると起こります。

これは単純に考えると、IGF2Rの数が減れば、IGF2の分解も起こらなくなりβ細胞の数が増えてインスリン分泌も高まるように思えます。ただ研究はここでは終わりませんでした。

② IGF2Rの働きによってβ細胞のオートファジーを保つ → インスリン分泌と長期の生存を支える
マウスの実験でβ細胞のIGF2Rの数を減らしてみたところ、β細胞の数は増えたものの、インスリンの分泌能力は減り、そこから肥満や糖尿病になると、今度はβ細胞の数が減って糖尿病が悪化することがわかりました。

この背景で明らかになったのが「オートファジーの低下」です。
IGF2Rが減るとオートファジー関連タンパク質も減少し、オートファジーが低下するそうです。
前述のとおり、β細胞はインスリンを作る負荷が大きく細胞ストレスが大きいため、オートファジーが働かなくなるとインスリン分泌の低下と細胞死を引き起こしてしまいます。
このオートファジーの制御に実はIGF2Rが関わっていることが今回わかったのです。

つまり、一件IGF2Rは成長因子であるIGF2を分解してβ細胞の増殖を抑制しているように思われましたが、実際は、細胞増殖とオートファジーの調整をして、β細胞が長期的に生存しインスリン分泌を正常に行えるように制御しているということが判明したのです。

そして、糖尿病ドナー由来のヒト膵島細胞を調べてみるとIGF2Rの機能そのものの低下やIGF2Rの発現調節異常がβ細胞の機能低下に関与している可能性が見られました。
→IGF2Rが糖尿病の進行に深く関わる可能性、さらにそこにオートファジーが関わっている可能性が
 出てきたということです。

今回の研究では、IGF2Rが糖尿病治療のカギとなることがわかりました。
そこにオートファジーが関わるということで、病気の予防にオートファジーの正常化がどれほど大事であるかが
わかる内容だと思います。今回オートファジーを活性化して糖尿病が治るというような内容ではありませんが
オートファジーが正常に働けば、糖尿病の予防につながるという話はできると思います。

参考資料:群馬大学プレスリリース(2025.10.6)より

製作日:2025.12.12
監修:株式会社UTP 研究室


エビデンス・研究資料「糖尿病とオートファジーの関係性について」PDF

詳しくは、PDFをご参照ください。


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