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エビデンス・研究資料「α-グルカンオリゴサッカリドの皮膚常在菌叢への影響」20241108

【要約】
●α-GOSは、皮膚常在菌叢のバランスを整え、多様性を良い状態にして、皮膚の恒常性維持に関与する
●α-GOSは、表皮ブドウ球菌の存在比率を増加させ、黄色ブドウ球菌の存在比率を減少させる
●α-GOSは、優位なアクネ菌を減らすことで常在菌バランスを適正に整え、皮膚の恒常性を維持する


※エビデンスを最優先に考えるUTPでは、医学論文や研究資料、学術情報などをもとに、美容と健康に関する信頼性の高い情報をご紹介しています。掲載内容は研究・文献に基づく情報であり、商品開発や情報提供の参考資料として活用しています。


α-グルカンオリゴサッカリドの皮膚常在菌叢への影響

☆皮膚常在菌叢とα-グルカンオリゴサッカリド
皮膚の表面には多様な細菌が常在しており、その菌種は1000以上であることがわかっています。
これらの細菌は皮膚常在菌叢を形成しており、皮膚の恒常性維持や疾患への関与が報告されています。

α-グルカンオリゴサッカリド(以下α-GOS)はショ糖とマルトースから酵素で合成された天然のグルコオリゴ糖です。グルカンオリゴサッカリドには乳酸菌を増加させる効果、そして病原微生物を減少させる効果があると言われており、今回の論文では皮膚常在菌への影響を調べていたため下記に実験内容を記載します。
(PDF図版参照)

☆α-GOSの皮膚常在菌叢への影響
*実験方法と評価*
今回の検討では、健常男女10名の全顔に1%α-GOS配合ゲルを1日2回朝晩、2週間連用したときの皮膚常在菌叢への影響を調べています。

【評価の仕方】
皮膚常在菌叢を構成する全菌種を同定し、菌種の多様性を測る指標としてSIという数値を用いています。
(SI値は論文内に記載されている特定の数式から算出されますがここでは省略します。)

菌の多様性が高いほどSI値は1に近づき、逆に多様性が低くなるほど0に近づきます。
→皮膚常在菌叢においては多様性が高い方が望ましいとされていますので、SI値が1に近づくほど皮膚常在菌の状態が良いという考え方になります。

そしてSI値以外にも、皮膚の恒常性維持に関与する菌種(①表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)、②黄色ブドウ球菌(S. aureus)、③アクネ菌(C. acnes))に着目し、1%α-GOS配合ゲルの使用前後での存在比率を解析しました。
(PDF図版参照)

*実験結果*
①皮膚常在菌叢の多様性について
被験者10名のSI値の平均は開始前が0.69、開始後が0.70とほぼ変化がありませんでした。(Fig.-2より)
しかし、開始前にSI値が平均より低かった(多様性が低い)2名に関しては、開始後に数値が上昇する結果となっていました。
→α-GOSは皮膚常在菌叢の多様性を良い状態にしてバランスを整えてくれる作用があることがわかりました。
※図の全グラフは黒が全被験者の平均、白がSI値の低かった2名の平均データを表しています。
(PDF図版参照)

②表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)の存在比率への影響
皮膚常在菌は善玉菌や悪玉菌と呼ばれる多様な菌たちが皮膚上でバランスを取りながら共生しています。

表皮ブドウ球菌は皮膚表面に存在する代表的な善玉菌であり、皮膚表面を弱酸性に保つ脂肪酸や保湿成分であるグリセリンを生成することで保湿作用を果たしています。今回の実験結果では、α-GOSにより菌の多様性に変化はなくても、表皮ブドウ球菌の存在比率は増加することがわかりました。(Fig.-3より)
→α-GOSは皮膚の保湿やバリア機能を強化する可能性があります。

③黄色ブドウ球菌(S. aureus)の存在比率への影響
黄色ブドウ球菌はアトピー性皮膚炎の悪化で知られる皮膚の悪玉菌です。
今回の実験で、α-GOSを塗布することにより全被験者の黄色ブドウ球菌の存在比率を減少させることがわかりました。(Fig.-4より)
→α-GOSは皮膚常在菌の多様性を保ちながら悪玉菌と言われる黄色ブドウ球菌を抑制する効果があります。
(PDF図版参照)

④アクネ菌(C. acnes)の存在比率への影響
アクネ菌は皮膚の恒常性維持にも皮膚の状態悪化にも寄与する日和見菌(※善玉菌と悪玉菌のうち優勢な方と同様の働きをする菌)です。

アクネ菌は善玉菌として働いているときは、リパーゼによって皮脂中のトリグリセリドを加水分解して遊離脂肪酸を生成し皮膚を弱酸性に保つことで黄色ブドウ球菌の増殖を抑制しています。

しかし一方で悪玉菌として働くとニキビの原因にもなるため、適正な存在比率を保つことが望ましい菌です。

標準的なアクネ菌の存在比率は20~40%と言われています。今回の実験では全被験者の平均は開始前後でそこまで変化がなかったものの、SI値の低い2名に関しては開始前の時点でアクネ菌の存在比率が平均より大きく乖離していたところから、α-GOS使用後には改善しているデータが得られました。
→α-GOSは優位なアクネ菌を減らすことで常在菌バランスを適正に整える可能性があります。

★総括★
α-GOSは皮膚常在菌叢の多様性と菌種のバランスを改善し皮膚の恒常性を維持してくれる成分です。

参考資料:段中瑞ら, α-グルカンオリゴサッカリドによる皮膚常在菌叢への影響, J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn. 55(20) : 176-181

製作日:2024.11.08
監修:株式会社UTP 研究室


エビデンス・研究資料
「α-グルカンオリゴサッカリドの皮膚常在菌叢への影響」PDF

詳しくは、PDFをご参照ください。


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