【要約】
●ビタミン C が長期的に不足することで、約4倍のスピードで老化が進行すると考えられる
●ビタミン C が欠乏することで、脳の活性酸素量が約3倍多く生じることが判明
●体内で合成できないビタミン C は老化制御に大きく関わり、活性酸素や外的ストレスから身体を守り
寿命に大きく貢献することが実験で判明
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ビタミンCと老化制御について
☆ビタミンCと壊血病
私たちの体はビタミンCを合成することができません。そのため食事からビタミンCを摂取する必要があります。
ビタミンCの不足は壊血病を引き起こすことが知られており、量としては体内のビタミンC量が300mg以下になると発症すると言われています。私たちの体にはおおよそ1500mgのビタミンCが貯えられていますが、ビタミンCを含まない食事を約60~90日間続けた場合、体内のビタミンC量が300mg以下になります。
現代では食事が豊富であり壊血病患者はいないと思われがちですが、実はそうとも限らないと言われています。
壊血病にはいくつか特徴的な症状があり、初期に見られる症状としては皮膚の乾燥、脱力感、うつ状態です。そのあとに大腿部に大きなあざが出るようになり、症状が進むと様々な部位から出血傾向がみられるようになります。
☆ビタミンC不足は寿命を短くする
ビタミンCを合成できないマウス(SMP30遺伝子破壊マウス)を、ビタミンCの少ない餌(1日必要量の2.5%)で長期的に飼育したときの影響をみた実験があります。(PDF参照)
ビタミンCを合成できないマウスは約6か月で半数が死亡しており、その原因としてがんや疾患は一切認められず、臓器全体が委縮するヒトの老衰に似た症状であったということがわかりました。
通常の野生型マウスにおいては約24か月で半数のマウスが死亡しており、単純計算すると、ビタミンCが長期的に不足することで約4倍のスピードで老化が進行したと考えられます。
☆ビタミンCの欠乏により脳の活性酸素が増加する
ビタミンCを合成できないマウス(KO)と通常のマウス(WT)において、ビタミンCを含む餌や水を与えた場合(VC(+))と与えない場合(VC(-))の脳における活性酸素量を比較した実験があります。
結果、ビタミンCが欠乏することで脳の活性酸素量が約3倍多く生じることがわかりました(KOかつVC(-)の結果)(図1(PDF参照))。
そして、ビタミンCの欠乏は体内で活性酸素を除去する役割をもつタンパク質(SODやカタラーゼ)の量には影響を与えないこともわかっています(図2(PDF参照))。
つまりビタミンCが欠乏することで脳の活性酸素量が増え、ビタミンCがない状態の抗酸化防御システム(活性酸素除去をしている体内のタンパク質のみ)では活性酸素の増加に対応できないことがわかりました。
これは継続的なビタミンC摂取が活性酸素除去にいかに重要であるかを示しています。
☆ビタミンCの不足が喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)発症リスクを高める
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は慢性的な喫煙習慣によって生じる肺の生活習慣病で「タバコ病」とも言われます。
COPDは気道や肺の慢性的な炎症により労作性の息切れ、咳、痰、喘鳴などを引き起こす慢性呼吸器疾患です。
ビタミンCを合成できないマウスをビタミンCが少ない餌で飼育し、8週間タバコの煙を暴露した場合の肺の変化を確認しています(図5(PDF参照))。
ビタミンCが不足することでCOPDの主要な病理変化である肺胞の破壊が見られ、ビタミンC不足がCOPDの発症リスクを高めることが明らかとなりました。
★総括★
私たちの体内で合成できないビタミンCは老化制御に大きく関わっており、活性酸素や外的ストレスから体を守り寿命に大きく関わっていることが実験でわかっています。
参考資料:石神昭人, ビタミンCと老化制御. Vitamins(Japan), 83(7), 364-368(2009)
製作日:2024.07.29
監修:株式会社UTP 研究室
詳しくは、PDFをご参照ください。
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