【要約】
●メルケル細胞は感覚神経とつながっていて、触覚刺激を増幅して脳に伝える役割があり、様々な機能を有している
●メルケル細胞の密度は27歳で26.4/mm²、84歳で8.4/mm²と加齢による減少を確認
●メルケル細胞の香り受容は、皮膚弾力向上や皮膚のたるみによる毛穴開大の改善にもつながると考えられる。
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メルケル細胞の嗅覚受容体と香り成分による活性化について
☆メルケル細胞とは
メルケル細胞は、直径約10μmの小さな細胞で表皮と真皮を分けている基底膜上に存在しています。
有毛部では数十から数百個のメルケル細胞が密集してクラスターを形成することも知られています。メルケル細胞は感覚神経とつながっていて、触覚刺激を増幅して脳に伝える役割があります。
(PDF図の拡大部分参照)
近年、メルケル細胞は触感覚だけではなくTRPM8という低温の温度感受性を司る受容体も有することが報告されています。
他にも、慢性的な炎症や極度に乾燥した皮膚状態では、無害な触覚刺激によって痛覚やかゆみが誘発される異常感覚が知られていますが、メルケル細胞の機械刺激応答がこの異常感覚の発現や抑制に関与しているということがわかっています。
これらの知見から、メルケル細胞はただ単純な機械刺激応答の役割だけでなく、様々な機能を有しているのではないかと言われています。
☆ヒト頬メルケル細胞の加齢変化
加齢に伴い身体のほとんどの部位で触感覚というのは衰えていくことが知られています。
この原因の一つがメルケル細胞のような機械受容体の減少と言われており、実際手指では加齢とともにメルケル細胞の数が減少することが知られています。
実験では顔の中でも比較的触覚感度の高い頬の有毛皮膚におけるメルケル細胞の数を調べていました。女性ドナー8名の頬部皮膚試料でメルケル細胞の観察を行っており、図は27歳と84歳の女性ドナーの観察結果です。
メルケル細胞の密度は27歳で26.4/mm²、84歳で8.4/mm²と加齢による減少を確認できました。
(PDF:図1、赤のドットがメルケル細胞)
☆ヒトメルケル細胞の嗅覚受容体(OR2AT4)発現
ヒトの表皮や毛包のケラチノサイトはOR2AT4などの機能的嗅覚受容体を発現しているという報告がされています。
メルケル細胞も基底膜上にあり表皮などと同じ上皮細胞であるため嗅覚受容体を有している可能性があり、実験にて受容体の有無を確認していました。結果、基底膜上に嗅覚受容体(OR2AT4)が発現しており、メルケル細胞のマーカーであるK20の部分にもこの受容体が発現していることが確認されました。
(PDF:図2)
☆メルケル細胞の香り成分での活性化
実験ではさらにメルケル細胞で発現しているOR2AT4 を刺激して、神経伝達物質の放出がされるのか検討を行
っていました。
結果は刺激により神経伝達物質放出が起こっているということが示唆されるものでした。この論文ではこの結果までで結論となっていましたが、この論文発表者が別に出している研究資料にて、香り成分で刺激したメルケル細胞から神経成長因子であるNGF が放出されるということが報告されています。
NGF はその受容体を持つ表皮細胞や線維芽細胞、神経線維等を通して皮膚の健康を保つことが知られているため、メルケル細胞の香り受容は、皮膚弾力向上や皮膚のたるみによる毛穴開大の改善にもつながると考えられます。
★総括★
メルケル細胞は加齢とともに減ってしまう触感覚を司る細胞ですが、他の機能として嗅覚受容体であるOR2AT4
が発現しており、香り成分による刺激が神経成長因子の放出を促すため皮膚弾力の向上や皮膚のたるみによる毛
穴開大の改善につながる可能性があります。
参考文献:坂口歳斗, 堤も絵, 加治屋健太朗, メルケル細胞のマルチセンシング. FRAGRANCE JOURNAL,
50(12) : 10-15
他、研究資料:https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/3502_n2s57_jp.pdf より一部抜粋
製作日:2024.03.18
監修:株式会社UTP 研究室
エビデンス・研究資料
「メルケル細胞の嗅覚受容体と香り成分による活性化について」PDF
詳しくは、PDFをご参照ください。



